pitch が決めるもの
FFC では、pitch という一つの数字が三つのことを同時に決めます。導体 1 本の断面、つまり電流能力。ケーブル全体の幅。そして両端で使えるコネクタの種類です。この三つは互いに制約し合うため、pitch 選定はバランスを取る作業です。順序を間違えなければ、多くの案件は早く絞れます。
第 1 ステップ:基板側コネクタから見る
FFC は通常 ZIF コネクタに挿入されるため、現実の選択肢はコネクタのエコシステムで決まります。最初に確認すべき点は次の通りです。
- 基板側コネクタはすでに決まっているか。決まっているなら pitch も決まり、次は電流と幅の確認です。
- まだ決まっていない場合、対象 pitch で少なくとも 2 社のコネクタメーカーが入手可能なシリーズを持っているか。
- 製品は何年供給される必要があり、そのコネクタシリーズは期間中に維持できそうか。
コネクタを出発点にすることが重要です。ケーブルは図面に合わせて作れますが、コネクタの廃番は製品そのものを止めることがあります。
第 2 ステップ:電流余裕を見る
pitch を一段細かくすると、導体断面は小さくなりがちです。信号線では問題にならないことが多い一方、電源、バックライト、ヒータなどのラインでは計算が必要です。最悪時の電流はいくつか。導体 1 本の定格で足りるか。足りなければ何本を並列にするか。隣接導体が同時に電流を流すと放熱条件が悪くなるため、ディレーティングも必要です。
ここで 0.5mm から 1.0mm に戻る理由が生まれることがあります。あるいは、電源だけを別の太めの短いケーブルに分ける案も出ます。
第 3 ステップ:幅を計算する
ピン数に pitch を掛け、両側の余白を加えるとケーブル幅になります。コネクタ本体の幅も足すと、基板上と筐体内で必要なスペースが見えます。単純な計算ですが、実際に図にして確認する価値があります。40 pin の 0.5mm と 1.0mm では約 2 cm の差があり、薄型機器ではそれが成立可否を決めます。
幅が厳しく、ピン数も減らせない場合に、より細かい pitch を検討します。その場合は、第 2 ステップの電流確認と、製造上の代償も一緒に持ち込みます。
忘れられやすい二つの要素
挿入歩留まり。 pitch が細いほど、挿入時の位置合わせ許容範囲は狭くなります。少しの角度やずれで接触不良になります。量産で手挿入する場合、0.5mm 未満は工程準備が必要です。このコストは製造側に隠れやすく、選定時に見落とされます。
端末と補強の細部。 細ピッチケーブルの端部は許容が狭くなります。露出長、補強板厚み、端部補強、想定挿抜回数を図面に入れるべきです。これらは pitch そのものではありませんが、pitch が細いほど重要になります。
具体的な型番へ落とす
この記事は考え方の順序を扱っています。各 pitch の範囲、導体数、加工オプションは用途ページで確認してください。信号密度が高いリンクは Fine-Pitch FFC、0.5mm と 1.0mm の比較が中心なら 0.5mm / 1.0mm Pitch が該当します。そもそも FFC か FPC かで迷っている場合は、まず FFC vs FPC を見てください。



