「最大何 m」が標準値にならない理由
LVDS で最もよく聞かれる質問の一つですが、正直な答えは追加質問から始まります。ピクセルクロックはいくつか。配線経路はどれほどノイズが多いか。どの程度太く硬いケーブルまで許容できるか。LVDS 信号標準は振幅と受信側の許容値を定義しますが、ケーブル長を保証しません。同じケーブルでも、ある設計では 3 m 安定し、別の設計では 40 cm で乱れることがあります。
変数 1:ピクセルクロック
解像度とリフレッシュレートがピクセルクロックを決め、ピクセルクロックが各ペアのデータレートを決めます。データレートが高いほど高周波成分が増え、その高周波成分がケーブル内で先に減衰します。同じ構造でも、クロックが低ければ遠くまで届きます。1920x1080 から 1280x800 へ下げるだけで、余裕が大きく増えることがあります。四つの変数の中で、最も直接効きやすい要素です。
変数 2:skew
LVDS 表示ハーネスでは、複数のデータペアが並列に動き、クロックペアがタイミング基準になります。各ペア内の 2 本、ペア同士の長さ、全長にわたる撚りの均一性が揃っている必要があります。どこかがずれると、受信側のサンプリング窓が狭くなります。その窓が消えると、表示エラーが出ます。
ケーブル側でできる skew 対策は、撚りの安定と長さ合わせです。ここが、表示用ハーネスと汎用フラットケーブルの違いになります。
変数 3:減衰と線径
信号は銅線を進む間にエネルギーを失い、細い導体ほど損失が大きくなります。32 AWG は 0.5 m なら問題なくても、2 m では 28 AWG が必要になる場合があります。太い線には別のコストがあります。曲げ半径は大きくなり、配線は硬くなり、材料費も上がります。長さ、線径、柔軟性は実際のトレードオフです。
変数 4:EMI 環境
最初の三つは、信号そのものがどこまで行けるかを決めます。EMI 環境は、その途中でどれだけ余裕を奪われるかを決めます。モータ、インバータ、電源配線の近くを通るケーブルは、受信側のマージンをすぐに削るノイズを拾います。ツイストペアは一部のコモンモードノイズを抑えますが、厳しい環境ではシールドが必要です。シールド構造の基本は Cable Shielding Basics、用途側の話は Shielded LVDS Routing を参照してください。
この問題が出やすい案件
似た状況は何度も出ます。産業用ディスプレイや改造案件では、制御ボックスが装置の下や奥にあり、パネルが操作位置にあります。そのため industrial-monitor LVDS harnesses は 1 m 前後になることがあります。医療カートやアーム付き表示器では、ヒンジや昇降柱を通るため、長さと曲げ条件が同時に厳しくなります(medical monitor LVDS)。キオスクやゲーム筐体でも、基板とパネルが大きな筐体の両端に分かれます。
これらに共通するのは、ケーブル長が最初に設計されるのではなく、機構配置の後に残されることです。RFQ の段階で長さ、経路、ノイズ源を早く出すほど、設計上の余裕を確保できます。
目安と、届かない場合の選択肢
四つの変数を見たうえでの目安は、通常の筐体内なら数十 cm は一般的、中程度のクロックと良いツイストペア、適切なシールドがあれば 1-2 m は狙える、それ以上は専用設計領域、というものです。
距離が明らかに足りない場合、現実的な道は三つです。クロックを下げる、つまり解像度やリフレッシュレートを下げて距離を稼ぐ。リンクを変える、長距離向け SerDes 方式にして、同軸やシールドツイストペアを使う。基板を移す、駆動基板をパネル近くへ置き、長距離区間は別の適した通信に任せる。普通の LVDS ケーブルだけに補償を積むのは、多くの場合で高い選択になります。
実案件では、解像度、リフレッシュレート、配線経路、環境を RFQ に入れてください。Board-to-Panel LVDS には、エンジニアリング評価に必要な入力項目があります。



