ケーブルシールドは何をするものか
シールドは、ケーブル内外への不要な結合を減らすための導電構造です。効果はノイズ源、周波数、形状、構造、帰路で変わります。両端コネクタと筐体接続まで含めて指定し、材料名やカバー率だけで実装後のEMC性能を判定しないでください。
電界結合、磁界結合、共通インピーダンス、放射は異なる問題です。まず発生源と影響を受ける回路を特定します。開放ベンチで動作しても、スイッチング電源の横や筐体入口で同じ結果になるとは限りません。
箔・編組・横巻き・複合を比較する
| 構造 | 図面・RFQで指定する項目 | 名称だけでは判断できないこと |
|---|---|---|
| 箔:導電膜・積層テープ | 材料、重なり、導電面、ドレン接触、露出長 | 減衰量、共通の周波数限界、固定配線限定かどうか |
| 編組:導体を編んだ構造 | 線材、光学的カバー率、外径、端末処理、実装曲げ | 疲労しないことやシールド効果の値 |
| 横巻き:一方向に巻いた導体 | 巻き方、動作中のカバー、接触方式、認定した運動 | 全マイクロ同軸や全連続可動部への適合 |
| 複合:複数のシールド層 | 層順、個別・全体シールド、各層の接続 | 外径、コネクタ、配線を問わない優位性 |
Alpha Wire 6391では箔の重なり、向き、ドレン、編組の最小カバー率が別項目です。構造の指定であり、実装状態の減衰試験結果ではありません。
「箔は可動部に使えない」と一律に決めることもできません。Beldenの可動ケーブル表には箔+横巻きと箔+編組があります。該当品番の運動条件を確認し、別の完成ハーネスに定格を転用しないでください。
カバー率・導通・EMCは別の評価
カバー率は形状、直流抵抗と導通は導電経路を表します。シールド効果は指定周波数・方法での減衰、伝達インピーダンスは指定条件でのシールドを介した結合の指標です。異なる測定を置き換えたり、異なる治具の数値を直接比べたりできません。
ドレン線は対応する構造で箔への接触経路を作りますが、長い露出線を全周接続と同等にはしません。TEのTinel-Lock例は編組とバックシェルの360度接続を示します。部品の設計例であり、円周クランプを使う全組立品のEMC合格を証明しません。
片端か両端か:帰路を図面化する
機器・インターフェースメーカーの指定と製品の接地設計に従います。シェルと筐体、意図した絶縁、中継接続を含め両端を記録してください。信号帰路、筐体、保護接地は別の機能で、シールドを自動的に保護導体と扱えません。「常に片端」「常に両端」という規則だけでは解決しません。
高周波の問題では材料変更前に露出長と端末形状を確認します。ピッグテールにはインダクタンスが加わりますが、損失dBや許容長に全設備共通の値はありません。
仮想診断:300 mmの二つの表示用ハーネス
これは検証計画用の仮定で、EDPcableの試験実績ではありません。AとBは同じ300 mm箔+編組ケーブルを使い、Aはシェルへの全周接続、Bは露出40 mmのドレン線接続とします。どちらも直流導通に合格し得ますが、それだけで実機EMCの適否は分かりません。40 mmは例であり合否基準ではありません。
ケーブル、機器、経路、ノイズ源の動作、試験条件を固定し、承認された端末構成を一項目ずつ比較します。指定した運動負荷の前後で放射・イミュニティと機能エラーを記録します。発生源や限度値が不明なら判断を保留し、改善量を作らないでください。実装経路はシールドLVDS配線で整理できます。
製造リリース前の六つの確認
| 残す証拠 | 確認すること | 保留条件 |
|---|---|---|
| 干渉源と影響の説明 | 動作、影響機能、対象周波数 | 「シールドを強化」のみ |
| 正確なケーブル仕様 | 層、材料、カバー、品番版数 | 一般構造名だけ |
| 両端・接続図 | 露出長、シェル、筐体接続 | ドレンと信号帰路の混同 |
| 経路と運動条件 | 曲げ、ねじり、動作試験の一致 | 素線材定格を完成品の証明にする |
| 電気検査記録 | 図面上の導通と意図しない短絡 | 導通でEMCを証明すると主張 |
| 実機EMC・機能報告 | 設定、限度、動作モード、結果 | 比較試験なしに改善を断定 |
RFQに添える情報
ケーブル品番・構造、コネクタとバックシェル、結線、層構成、両端接続図、露出寸法、経路・運動条件、干渉源と影響、検証要求を送付し、製造前に逸脱を明示してもらいます。図面に基づく製造管理は加工確認、電気検査計画は導通条件の整理に使えます。高シールド・マイクロ同軸は用途定義に対応します。



